天空界道の中心部にある竜ケ峠 
 竜ケ峠(2003年3月り記録)
 なんとも寂しげな峠である。
 辺りは深い樹木に追われ日が当たらない。涼しい風が、通り抜けるので俗界にでも来たような妖気が漂う。右側は矢持菖蒲(やもちしょうぶ)へ行く道である。
 昔は、村民がこの峠から内宮へ行きチンチン電車で山田(現伊勢市)へ買い物等をする重要な生活道路だった。
 戦時中は、出征兵士を励ますため村人が「見ょ東海の空明けてーー」を、歌いながらが日の丸を振ってこの峠まで見送りにきた。
 「勇士は還らず」戦死した人もいて、悲しい別れの峠でもあった。
 今は、その面影もなくただ冷たい風がふくばかり。
 真っ直ぐ行くと剣峠、左へ行くと仙人下橋である。傍らに誰が名付けたか、「天空界道」という表示板が建っている。
 神秘的な名だ。神様に奉仕する仙人の道かも知れぬ。なんせ下りていくと仙人下橋という名前が付いているのである。

2005年3月の竜ケ峠
 菖蒲から竜ケ峠まで幅広の登山道が整備されたので昔の天空界道らしいイメージがなくなる。神風が吹きぬけてここち良い道も今は懐かしい

左、2007年の標識。工事で無残なことになっていた。、
右、2005年当時の標識。

2008年4月の竜ケ峠
 峠付近にあった木は伐採され東屋が建ち明るくなった。
 風情のあったさみしげな峠から何処にでもある峠になってしまった。
 これでは散歩道だょ。ウム残念。
 この先の尾根もかなり人が入っているようだ。
 天空界道もただの山道になってしまうのか。