天空界道の一部
八禰宜山八大竜王〜京路山

日時 2003年10月17日(金) 天候 晴
山名 八禰宜山(やつねぎさん・420m)/八大竜王(450m)/京路山(414.8m)
交通 R23号終点内宮前から県道(山道)約17キロで剣峠まで車約40分
人数 単独
行程・タイム 剣峠〜八禰宜山〜八大竜王〜剣峠 (100分)
剣峠〜京路山〜剣峠 (70分)

左、京路山(八大竜王付近から撮る)右、八禰宜山(京路山から撮る)

ルート図

出発は、内宮前から剣峠まで17キロ
  三山(八禰宜山・八大竜王京路山)の登山口は、剣峠となる。
 内宮前駐車場から登山口の剣峠まで、約17キロ。この街道は、自然林に覆われた中を、清流五十鈴川のせせらぎを聞きながら源流の剣峠を越え南勢町へと道が続いている。最奥地の集落は、高麗広である。 この地域一帯は、神宮林という厚い保護下にあり今後も開発はされない。
 百年いや千年先も今のまま環境は変わらないだろう。
 将来、日本有数の自然環境地として存在する日が来るのではないかと思う。
 南伊勢町まで県道は通じているが、神宮司庁は自然のままにしておきたいとの考えから道路事情は最悪である。
左、内宮前
右、昼間も暗い県道。

命の水
 「命の水」と命名された場所が三箇所。伊勢の水(宮川水系)はとても美味しい水だが、ここに来る人は何よりも命の大切さを良く知っているのでしょう。なんせ神さんが飲む自然水なのだからーーーご利益が。近くに小滝がある。
左、命の水。右、小滝。

内宮前から13キロ地点に高麗広という集落あり。
  高麗広の世帯数は、20数戸で今も昔も変わらない小さな山村。
 日本が高度成長する以前は、三重県「最後の陸の孤島」と云われた。
 昭和30年前後に電燈がつき文明開化した。

左、高麗広の最奥家。

剣峠から天空界道へ
 剣峠は、伊勢市と南伊勢町との境界である。峠から五ケ所湾が見える。
 峠の一角に野口雨情の歌碑
「神路山越えまきておくれ、乙女椿の咲く頃に」が建っている。
 石碑やベンチが置かれ、小さな広場として整備されている。普通車なら7台位は駐車可能。
 但し、車荒らしに要注意。
 本日のルートは、天空界道と呼ばれる極く一部だ。
 このルートは、境界尾根
(神宮司庁と南伊勢町)に付き神宮林へ入らない限り許可はいらない。

剣峠から八禰宜山まで片道20分。
 八禰宜山という山名は珍名である。神さんに関係ある山なのだろう。
 登山口は、小広場の一角に登山口の標識がある。階段状に整備された道を登って行くと尾根に出る。
 ここは伊勢市と南伊勢町との境界でもある。
 尾根は、椿の多い雑木に覆われ快適な道で、冬暖かく夏涼しいという感じだ。
 ピーク375地点を乗り越し、鞍部に出てゴツゴツした岩をあがって行く。左手のこんもりした所が山頂である。その横に展望台がある。ここからは南勢町切原や五ケ所湾や御座方面の島々と太平洋が見える。最近、登山道に標識が立てられたので、明確になったが頂上に来たという感覚がないのがちと寂しい。
 下左、登山口。下右、八禰宜山。

八禰宜山から八大竜王まで30分
 八大竜王への道は雑木で尾根沿いに赤テープが巻かれている。
 ピーク401地点で二股の道がある。
 八大竜王は左の道を行く。奥にテープが巻かれている。(右は沼木町床の木へ降りて行く)標識はあるが、ここは間違わないよう注意。ここから10分ほどで十字路となっている所に出る。標識の指示に従い左の道を行くと八大竜王社に着く。
 八大竜王社は、朝熊山の西峰頂上に移転したので八大竜王跡と呼ぶのが正式名だ。
 祠や付属の建物は、風雪に朽ち果てさびれていたが信仰心厚く歴史の重みがある社という雰囲気が滲み出ていた。一見の価値がある。
 八禰宜山を過ぎると石がごろごろしていた。フカグズは、南勢町へ降りていく道

炭焼跡
 高麗広の住民は、主に炭焼きで生計をしていた。この付近が生産跡らしき形跡があった

八大竜王の竜王社跡
 石積み階段の参道。 竜王社の鳥居は朽ち果てていた  竜の頭に船形の手洗い場

八大竜王の竜王社跡
      竜王社  左から稲荷大明神、南無観世音菩薩南無不動明王  弁財天女の水穴

八大竜王の竜王社跡
 王社の社殿前にある枯れ木(左)と大木が対比して立っていた。この祠の歴史を感じた。

剣峠〜京路山 タイム35分
 剣峠の東側に登山口の標識がある。
 階段状に整備されたジグザクな道を登っていくと尾根に出る。
 尾根道は、椿が多い樹林帯で展望は開けないが道は広くて明るいので快適な気分で歩ける。
 神宮司庁の一風変わった境界石が所々にある。35分ほどで頂上に着く。頂上からの展望は素晴らしい。南側は五ケ所湾、磯部方面リアス式海岸や黒潮踊る太平洋を航海する船が一望できる。空気の澄んだ風のある日は富士山も見える。北側は、神宮の森である。
 この谷の下には、高貴な天照大神が住まわれており、凡人どもは、この森に踏み込むことは、許されない新鮮な場所である。
 五十鈴川の源流でもあるこの谷を恐る恐る見つめると、椿の多い原生林で二千年の静寂に鎮まり、下から吹き上げてくる冷たい風は、大神の威厳のようなものが伝わってくる。ここは、息を殺して歩くことにしょう。

神宮の境界石        
古い神宮の境界石は、数字の8のような記号あり。
新しい神宮の境界石は、司という文字に変わる
 

背後に天空界道の前山・鷲峰が見えた。

左、前山・鷲峰。
右、歩ききやすい尾根の道。

京路山
五ケ所湾、遠くは黒潮踊る太平洋の雄大な眺め。絶景である。
志摩の山。
高い山は、龍仙山のような気がします。

アサマリンドウが咲いていた