【山記録】
日時・天候   2006年8月21日22日 雨曇り雨(2日とも)
山名・標高 苗場山(2145.3m)
山域  日本百名山(新潟・長野県)
コース・タイム  8月21日和田小屋~苗場山
和田小屋(11:45)~六号目・昼食(12:15-40)~下の芝(13:10-20)
小松原分岐(14:40-50)~神楽峰(15:20-25)~お花畑(1605-30)~遊仙閣泊17:15)
所要時間7間40分(休憩除く)
8月22日苗場山~小赤沢
遊仙閣発(7:00)~平田郎尾根分岐(7:35-45)~五合目(8:40-45)~
三合目(9:30-40)~大瀬の滝(10:10-30)~小赤沢(11:15)
所要時間4時間 
人数 2人

【交通手段】
 今回の交通手段は、自家用車・タクシ・バスを利用した。
 <8月21日>
 伊勢icから長野道豊田飯山icまで高速道路を利用する。。
 豊田飯山icから津南町までR117号を走り楽養館へ泊まる。
 伊勢から津南町まで約400キロ7時間ほどかかった。
<8月22日>
 車は、宿の駐車場に置かせて貰う。
 津南町バス停発8時13分のバスで越後湯沢駅へ向かう。9時過ぎ湯沢駅に到着。
 駅前からタクシーで、三合目の和田小屋に向かう。
 和田小屋まで40分料金は5000円。和田小屋を11時45分出発。山頂の遊仙閣へ17時15分(5時間半)到着。
<8月23日>
 山頂の山小屋「遊仙閣」を7時出発。
 秋山郷小赤沢へ11時15分到着(4時間余)。その後、小赤沢で風呂と昼食を取り、バスで14時20分津南町へ到着。(小赤沢バス停発13時12分→津南町バス停14時20分到着)
 津南町からは車で行き来た道を辿り21時過ぎ自宅に到着した。

山記録
 苗場山は、日本百名山(深田久弥著)でもあり花の百名山(田中澄江著)でもある。
 山名の由来は、広大な山頂に数々の池塘が点在し、ミヤマホタルイが苗代のように見えることから苗場という名が付いたとある。
 今の時期、ワタスゲ等高山の花が一杯咲いているのではないかと期待していた。
 21日午前9時過ぎ、越後湯沢駅からタクシーで標高1370mの和田小屋(三合目)まで入る。
 自家用車の駐車場は、ゲレンデの下にあり歩いて30分ほどだろう。
 和田小屋の前は、かぐらスキースキー場のゲレンデで明るくて気持ちが良い。
 「熊注意」の絵図のあるところにあるボックスへ登山届けを投函し午前9時35分三合目を出発する。
 六号目を過ぎたところで、相棒のNが、突然のアクシデント(体調不良)で蹲る。和田小屋へ戻り暫く様子を見るが回復せず下山することにした。従って、単独で登ることになった。
 
 午前11時45分。雨は止んでいるがカッパを着用し、再び三合目を出る。
 ゲレンデを斜めに横切ると石の多い笹の道となり、オオシラピソ・コメツガ・ブナの森の中に入る。
 時折、パラパラと通り雨が降る。少しの雨でもびしょ濡れになるのでカッパは手放せない。
 30分ほどで六号目に着く。
 12時を過ぎていたので、和田小屋で買った700円のお弁当を食べ少し休んでから出発する。間もなく先ほど引き返した場所を通る1時間30分のロスタイムである。
 急斜面のゲレンデを登っていくと下の芝に出る。
 下の芝は、オオシラピソの中にボッカリ切り開かれたところで、芝のテラスもあり明るい。休憩用に造られた立派な木道に腰掛け地図を見る。
 ここは、標高1703mとあり高度計を調整す。
 針葉樹の北方向にある尾根は中尾根か。10分ほど休んで出発する。
 中の芝へ向かう途中、スキーリフトの駅舎らしき建物が右に見える。この高さでは上級者向のスキー場か。中の芝も上の芝と同じような雰囲気がある。上から降りて来た中年夫婦とすれ違い挨拶を交わす。
 
 急斜面を15分も登ると上の芝につく。
 ここも下・中と同じようなところだが、この辺りから展望が開けてくる。直ぐ上に顕彰碑があり、「昭和3年スキーによる苗場山初登頂」と書かれていた。雲が切れ北東方向に大きな山が見えた。小松原分岐を左に取り股スリ岩を過ぎて神楽峰に着く。
 神楽峰から一旦下りになり、前方に大きな山容が現れた。風の動きが早くてなかなか全容が見えない、苗場山だ。なるほど鯨の頭のような格好をしてボリュウム感がある。
 間もなく雷清水に着く。チョロチョロと少量しか流れていない。冷たくて美味しい。
 下界で売っている南○○○スの天然水とはチト味が違う。1ℓ用水筒の水を捨て入れ替える。
 
 最低鞍部を過ぎると間もなくお花畑という看板のある場所に来た。モミジカラマツ・ヤブキショウマ・シモツケソウ・ミヤマトウキ・ハクサンフウロ・ヤマトリカブト・ツリガネニンジン・オウレン等が咲いていたが最盛期の花は、何といってもトリカブトで紫の色で登山道を楽しませてくれた。
 しかし、ここに来て真っ黒な雲が現れ「風雲急を呼ぶ」天候の急変である。
 雷鳴が轟き、激しい雨と雷が襲ってきた、急いでこの場を立ち去るが、この先、思わぬ難関が待ち受けていた。コース中最も厳しい雲尾坂である。
 背丈の低い樹木が茂って隠れるところのないヤセ尾根だ。
 雷の閃光が走ると同時に爆弾が足元に落ちたような響きが腹の底まで伝わる。
 雷が鳴るたびに頭を下げるが、苦しい登りでピッチは上がらず、杖を捨てようかと思ったが足が重いのでやっぱり杖は放せない。丸裸にされたので、もう、雷に打たれ死ぬかと思った。
  「ナムアミダブツ」「ナムアミダブツ」を唱えながら歩く。
 60分ほど続いた嵐もやっと鎮まった。何とか木道に出て薄暗い遊仙閣へ17時15分到着した。
 山小屋のご主人から「この悪天候では、もう来ないと思っていた」と云われた。ロスタイムで狂ってしまったが、仏様・神様に感謝するしかない。
 
 遊仙閣は、4人の女性がいた。皆さんも和田小屋から登られ16時までに着いたので、雷の恐怖にあわなかったようだ。今夜は、大雨で荒れ気味で外へも出られず、電気も付かず夕食(カレーライス)を食べたら直ぐ床につく19時30分であった。

 翌朝、5時起床。山小屋の窓からは雨が音をたてて降っている。付いていないなぁ。一週間前の天気予報では晴マークが続いていたのだが、予想が完全に外れてしまった。小屋の主人によると北海道に低気圧が居座り湿った空気が太平洋側から流れているので、天気が不安定になっているとの説明を聞く。
 今朝もテレビは映らず、高校野球の決勝線が分からずじまい。山にいるとおおらかな気分でいられるので、早実か駒大北海道か関係なし。ここは、ストレスのない世界である。
 朝食は6時から始まる。定番の味噌汁とタマゴに焼き海苔等である。
 6時30分カッパを来て小屋の外に出ると何と雨か上がっていたが、ガスが周り一面を包み込み、静かな乳白色の世界になる。。
 遊仙閣の裏は、三角点と山頂標識があるので証拠写真を撮る。ここは、大赤沢への登山口でもある。遊仙閣の玄関に戻り小赤沢コースへ向かう。山頂一帯の高層湿原は、その広さ4万平方キロ、火山活動で出来た広い台地に、約千年を経て泥炭が蓄積され現在の地上湿原が形成されたという。
 木道から見るかぎりワタスゲは、もう咲き終わったのか見当たらない。イワショウブ・ゴマナが咲いていたが、今一である。視界が悪いので歩き回ることはできないので、花の存在は分からないが、7月に来ないといけないように思えた。
 九合目を過ぎると和山へ通じる平太郎尾根との分岐、その先の坪場で休憩をする。広大な湿原は、ガスで視界は悪いが木道歩きは実に気持ちがよかった。今度来るときは、ワタスゲの大草原に寝転び青空を仰ぎたいものだ。
 この先は、湿原ともオサラバして樹林の中に入る。八合目からのの下りは、クサリも出てくる急降下が続く。風があたらず湿気が強くて蒸し熱い、払っても払っても虫が追っかけて来る。
 七号目に来ると、下からリンリンという鈴の音が聞こえてきた。
 三合目の駐車場から登ってきた人たちだ。秋山郷民宿の人から「熊除けに鈴を鳴らして行くようにと」言われたとの話を聞く。熊のことはすっかり忘れたいたので、「注意しなけりゃ」という気にさせられる。
 六合目を過ぎたところに小さな水場があり、道は次第に緩やかになる。四合目にある沢の水を呑み一息入れる。三合目の広い大きな駐車場には立派なトイレもある。
 三合目駐車場右手のところに小赤沢へとの標識が立つ。一旦、沢に降りて川沿いに下ると林道に出ると、落差30mの大ゼンノ滝に出る。滝見物を終えたら雨が降ってきた。(20分ほどで)小赤沢集落に着いたが本格的な大雨となった。
  案内に従って赤湯の鉱石湯(村営の楽養館・左の写真)に浸かり昼食をした後、13時12分のバスで津南町へ向かい帰路についた。

【タクシーで三合目の和田小屋へ】
午前9時過ぎ、越後湯沢駅からタクシーで標高1370mの和田小屋(三合目)まで入る。左、和田小屋の前は、かぐらスキースキー場のゲレンデで明るくて気持ちが良い。

カグラゲレンデ付近】

、樹林の中に入る。和田小屋が見えている
右、ゲレンデ上部の

森の中に入る】

【六号目】

ここで昼食をとる。
ブナの木が目印。大休憩にはもったいない。もっと良い場所が沢山ある


【下の芝は、標高1703m絶好の休憩地

下の芝は、広々として気分の良いところ地図を広げて現在地の確認をする。左の尾根は中尾根と思われる。

【中の芝・上の芝も下の芝と同じような環境】

中・上も下の芝と同じような環境のところで絶好の休憩場となっている。芝のテラスには黄色いオガラバナなどが沢山咲いていた。

【小松原分岐から北の方向を見る】

昭和3年苗場山初登頂の顕彰碑。右、小松原分岐。手前が神楽峰へ行く道。
左、霧の塔へ

【神楽峰2029.6m】

左、お花畑付近から見た神楽峰。
右、山頂付近

【遊仙閣】
 21日遊仙閣の泊客は4人。
灯りはランプで昔ながらの山小屋の雰囲気あり。小屋の水は、天水を利用し、不足の時は池塘から引いている。水・お茶は300円。
 静かな雰囲気がとてもよかった。

【三角点標石】
遊仙閣の裏にある三角点標石。左は苗場山山頂標識。

大赤沢への登山路の標識もある。

【22日の山頂湿原】

山頂は、今日も雨で視界悪し。
和山分岐(小赤沢6.3km・和山8.2km)付近の湿地帯。

【湿原に咲いていた花】
 
 
 

【三合目駐車場と大ゼンノ滝】