5日間の山旅も4日間は、雨となる。今までとは違った山行きで自然の厳しさを味わった。
 夏とはいえ高山の天気が悪化すると気温は一気に低下する。四日間、降雨と風の中を歩いた。体は冷え寒さは我慢の限界だった。
 最近買った高価なゴアの雨具も防寒には弱い。
 帰る日になって、皮肉にも天気は回復したが惨めな山行きだった。
 雨で写真は、撮影できなかったので日誌のみです。
 左、最後の日に天気回復し太郎平小屋付近から撮る。
 
2005年8月17日
     いせ人の山楽誌

 日時  行        程
 8月12日(金)  自宅8時出発。立山亀谷温泉で車中泊
 8月13日(土)  折立ヒュッテ〜太郎平小屋(泊)
 8月14日(日)  太郎平小屋〜薬師沢小屋〜アラスカ庭園〜雲の平小屋〜高天原峠〜高天原山荘(泊)
 8月15日(月)  高天原山荘〜水晶池〜岩苔乗越〜祖父岳〜雲の平〜祖母岳〜薬師沢小屋(泊)
 8月16日(火)  薬師沢小屋〜太郎平〜折立ーーー富山IC〜自宅

<8月12日(前泊)>
 お盆休みで休暇が取れたのでS会が主催する「折立〜雲の平〜高天原〜折立周遊」の山行に参加させて貰う。集合地・時間は、8月13日折立登山口ヒュッテ午前8時である。
 3日前、有峰ハウスへ前泊の予約をすると、たまたまキヤンセルがあったのでOKしてもらう。出発前夜(11日)、旅先(富山県)の週間予報は日本海に低気圧が停滞し、北陸や東北は大雨が続くとの予報である。お天気を気になしながら12日朝8時。車で家を出る。往路は、岐阜県から有峰湖へ。復路は、富山県から高速で帰ることに決めた。
 往路は、中央高速に乗り中津川ICで降り下呂に向かう。下呂から国道41号で神岡へそこから有峰へ走り午後4時ごろ有峰ハウスへ到着予定であった。ところが、中津川から先が事故のため通行止めとなった影響で、恵那からノロノロ運転で、予定より2時間ほど遅れたことが、とんでもないハブニングに巻き込まれる
 神岡から有峰湖にある有峰ハウス(折立登山口に近い)へ行くには、二つ道がある。一つ目は、R471号沿いから入る国道打保神岡線。二つ目はR41号から入る林道大多和峠超えである。道路の様子を有峰ハウスで電話で聞く。
 大多和峠は、舗装のしてないダートな道。打保神岡線は、舗装のしてある道なので走りやすいので、後者の方で来るようにと言われたのだが、これを聞き違いし国道41号線沿いから入れる大多和峠の方へ走ってしまった。 始めは舗装してあったが、少し走るとダートな道になり変だと思いながら前進する。一つの集落を抜けるとだんだんと厳しい道となる。高度を上げると廃村らしき家が少数ある。これを抜けると路面は荒れていて、四輪駆動車でないと上がれないほど険しい道となる。前を見ると看板が立っている。この先からの通行は、責任を持てないとある。今更バックすることも出来ない所まで来ているのだ。もっと入り口にこの看板が有れば、無理することはなかったのだが、余りにも不親切な看板に怒りさえ覚えた。
 
 一段と低いギアに入れて走るが、パンクが怖い。アクセルとハンドルワークはレーサ気分にさせてくれるが手や足は緊張で固い。山を廻りこみながら高度を上げて行くが道は続いている。カーナビを見ると有峰湖の上に来ているではないか。それでも上っていくので、この道は間違いではないだろうかと思った頃に峠へ出た。大多和峠と書かれた標識を見て安堵した。
 
 峠は、車が楽にUタンできるスペースがある。先は舗装された有料道路だが、遮断機が下ろされて通行止めの標示がある。遮断機の前に料金徴収のための小さな小屋があり、中から老人が出てきた。
 有峰林道は、全線4時10分に通行止めになったので、(いまから10分前のことである)通れないとのこと。今は雨も降っているし、戻る方が危険なので通して欲しいとお願いしたたが、聞き入れてもらえなかった。
 老人の話によると「この道路は、雨が20ミリほど降ると全線通行止め」となるとのこと。他の道からもゲートイン出来ないので戻るしかない。あと10分ほど早ければこの道は通れたのだ。そんなことを思いながら山を下り、携帯のかかるところから「有峰ハウス」ヘキャンセルの連絡をとる。
 明日は、道路事情の良い富山県側から折立へ行くことにしたので、立山亀谷温泉にある国民宿舎白樺ハイツに向かう。温泉に浸かり車の中で寝ることにした。
 ブナの周りで体を温めラーメンを食べると元の体に回復した。
 薬師沢小屋前の川が増水し渡河が厳しいと山小屋に情報が入ったので、ここで暫く待機する。
13時頃少し雨も弱くなる。その後も雨の状況は変わらないので動くことにした。
 雲ノ平小屋を14時30分出発。
 もし、増水していた場合は、危険覚悟で陸路を迂回する。
 17時過ぎ薬師沢小屋前の川に到着。
 問題の渡河だが、中央は濁流がゴウゴウと速い流れ、河岸は膝位の水で流れは緩い。リーダーはこれなら渡れると判断を下す。釣り橋の上からリーダが指示。師沢小屋の主人も見守るなか、ロープをかけることもなく岩に掴まりながらどうにか全員無事に渡れた。

 <8月13日>
 午前5時、有峰林道のゲート前に着く。上空は厚い雲に覆われ時折雨が強く降って来る。通行止めは、昨日から解除されていない。ゲート前の道路には車が10台ほど並んでケ゜ートが開くのを待っている。
 係員が林道を巡視に行った結果、どうやら定刻の6時にGOのサインが出るとの情報で、車に乗り込む。有料道路代金1800円支払い登山口の折立に向かう。一部未舗装や工事中で対向待ちの信号が3箇所ほどあった。
 折立は、盆休みで大型バスで来た人などもいて大賑わいである。かなり広い駐車場も満車はに近い。
 自家用車は、目測で100台位か。出発時間の8時まで1時間ほどあるので、コンビニで買ったおにぎりを食べる。集合時間になったので、カッパを着て集合地の折立登山口ヒュッテに向かう。点呼、軽い準備体操をした後、愛知大学遭難碑に合掌し、標高1350mの折立を出発する。
 登山道は、数日前から雨が降り続いていたのでぬかるんで歩きにくい。
 カッパを着て急坂を上がる、たちまち汗が噴出す。涼しい風を入れようとカッパのファスナを下ろすが、体の中は蒸せて、悲鳴を上げている。
 (翌日と翌々日は、豪雨で3日連続でカッパを着たまま歩いたので、アセモが体中にでき赤く腫れ、1週間経った今もまだ治らない。元の体になるには下山後2週間要しそうだ。)
 標高1870. 6mの三角点に来ると、雨も止んだが、今にも降り出しそうな空につきカッパを着たまま歩く。太郎平までは、岩くずを敷き詰めた歩道のような感じだが、アップダウンもきつくなかなかのものだ。晴れていれば楽しい道であろうが、今日のような天候は、疲れのみが残る長い苦しい道程だった。
 14時過ぎ太郎平小屋に着く。雨が降ったり止んだりの天候で、一時、薬師岳も見えたがガスや雨が降る不安定な天候なので早々に太郎平小屋に入り衣類を乾燥室で乾かす。山小屋は、お盆休みで満杯で1枚のフトンに2人が寝ることになった。
 夜の天気予報では、明日も日本海に低気圧が停滞し大雨の予想に皆さんがっかりして部屋に戻る。

8月14日>
 4時起床。大雨。
 朝食を済ませ6時太郎平小屋を出発。9時過ぎ薬師沢小屋に到着。当初は大東新道を経て高天原を行く予定であったが、増水等による危険を避け雲の平経由に変更す。吊り橋を渡り川岸沿いに歩き鉄ハシゴを登るこれからアラスカ庭園まで標高差500メートルを一気に上がるので、カメラや杖はリュックの中に入れ登るが大雨と汗で体はベトベトに濡れ、苦しい登りであった。
 やっと木道になると平たい地で湿地源のようだ。ここには高山植物が雨で生き生きしていたが、カメラを取り出すのも濡れてうっとしいので通過してしまう。アラスカ庭園では小雨となり昼食。小屋で貰ったおにぎりを食べる。
 雲ノ平山荘に来たら雨が激しくなり気温が下がり寒い寒い。トイレは満員御礼だ。雲ノ平に来ることを最も楽しみにしていたが、今日は「雲の多い平地」で花の散策どころではない。小屋に入って暑いコーヒを呑んでいると出発との声がかかる。ベタベタの衣類に雨合羽を着て登って行くと思うとしんどい。やがてP2576に到着。北西へ下りP2439へ更にと下ると高天原峠に出る。ここは大東新道との合流地でもある。これから岩苔小谷まで降りて、登り返すと高天原山荘の案内板が出てくる。4時20分小屋に到着。小屋は古くて小さい。今日も大賑わいである。二階に案内され大部屋の確保されたスペースは、一枚のフトンに二人が寝ることになる。濡れたザツクが並び、歩くことも容易でない。これでは頭や足を踏まれるのを覚悟しなけりゃならぬ。間もなく小雨となったので、20分ほど歩いて露天の温泉風呂に入る。男・女・混浴と3つあるが、満員のため10分ほど待つ。温泉は温かくさっぱりとしたが、小屋へ戻る途中に凄い雨が降ってきて傘をさしてもシブキでズブ濡れとなった。温泉へ行かない方が良かったのではーー

 <8月15日>
4時起床。豪雨。
 午前6時、今日もカッパを来て出発。昨日来た道を戻り分岐から、何も見えない水晶池を覗き岩苔乗越へ来るとお花畑があり見ごたえあり。だが、ここにきて雨が一段と激しく降ってきた。祖父岳へ登る道は、台風並の風と雨で数メートルしか視界が利かない。雨対策は万全と思っていたのだが、ゴアーの雨具も何処からか雨が侵入し、靴の中にまで水が入ってきた。リュツクも二重に対策をしてきたが、中ほどまで濡れて重いこと。気温が下がってきたので、濡れた体は寒さに敏感だ。(冬山ならもう歩けないかも知れない)普段歩いている1000メートル級の山と2000メートル級の山との違いを実感させられた。
 12時過ぎやっとのことで雲ノ平小屋に着いた。小屋の中に入り衣類を着替え、ストーブの周りで体を温めラーメンを食べると元の体に回復した。
 薬師沢小屋前の川が増水し渡河が厳しいと山小屋に情報が入ったので、ここで暫く待機する。1時頃少し雨も弱くなる。その後も雨の状況は変わらないので動くことにした。雲ノ平小屋を14時30分出発。
 もし、増水していた場合は、危険覚悟で陸路を迂回する。
 17時過ぎ薬師沢小屋前の川に到着。
 問題の渡河だが、中央は濁流がゴウゴウと速い流れ、河岸は膝位の水で流れは緩い。リーダーはこれなら渡れると判断を下す。釣り橋の上からリーダが指示。師沢小屋の主人も見守るなか、ロープをかけることもなく岩に掴まりながらどうにか全員無事に渡れた。

 <8月16日>
 4時起床。曇り晴れ。
 午前6時。
 天気はすっきり晴れず雲が多い。9時過ぎに太郎平小屋に着く。やっと薬師岳の全容か見えたが青い空でないのが残念だ。最終日になってやっと雨カッパを着ずに歩く楽しさを味わった。13時過ぎに折立に戻る。
 4日間雨で、カメラは全然ダメでした。今度来るときのための良い経験をさせてもらった。