【山行日誌】 | 池木屋山三角点 |
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日時 | 2010年8月22日(日) | |
天候 | 快晴 | |
山名 | 霧降山(1360m)・池木屋山(1395.9m) | |
地域 | 台高(三重県) | |
コースタイム |
登山口(7:10)~ネットフエンス(7:40-8:10)~尾根上(8:35-8:45)~コブシ平(9:30-50)~P1222(10:40-10:50)~霧降山(11:30-11:55)~池木屋山(12:35-13:10)~宮の谷上流部(14:00)~高滝下(14:50-15:10)~風折谷分岐(15:30)~登山口(16:30) ●総タイム9時間20分(ロスタイム1時間30分程度) |
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距離10.8キロ。 | ||
人数 | 単独 |
【カシミール鳥瞰図(シャッポ山2200メートル上空から撮影)】 |
【【足跡】 |
今年は、例年に比べ異常な暑さが続いている。 8月後半になっても一向に気温が下がらず、朝までクーラは付けっ放しにしないと寝苦しい。 8月22日は、「霧降山~池木屋山」への登山日。 午前6時30分、国道166号飯高町森付近に設置されている路上の温度計を見ると既に30度近い。太陽が上がれば今日も35度前後の猛暑日となりそう。 今日の山歩きは、格が違う。奥深い台高の山である。 しかも未知の山歩きで実力も試される。 日ごろ、自分が持てるリュックの重さは7-8キロ程度である。 そこで、弁当・カッパ・非常食・非常具(簡易テント、ザイル、カラビナ、懐中電灯)医薬品などを差し引き、水は3.5リットル(水2.0・ボット0.5・ポカリ1.0)ということに決まった。 その他、下山したときに飲む冷茶1.0リットルを車の中に置いていくことにした。 さて本日飲んだ水の量は、3.3リットル。 下山時の余り水は極く僅か、結果オーライであった。車に置いていた冷茶は何よりのご馳走で2/3ほど一気にのんだ。 池木屋山といえば毎年のように「遭難した滑落死した」との新聞記事を見る。 宮の谷は、死者の亡霊がさ迷う怖い山というイメージがつきまとう。今までに一体何人くらい死んでいるのだろうか。 行政側は、問題が大きくなる事で入山禁止等の措置をしなければならないので公式発表を控えているのだろうが、相当な数になることは間違いない。 登山口には、松阪市が書いた「滑落死亡事故多発」と書かれた看板が立っている。 此処は、複数で入山するのが常道なのだがーー今回は、単独行きである。。 池木屋山へは、過去ピストンで二度登った事があるが遠い昔の話で記憶は定かでない。絶対に無理をせず本道をゆっくり歩こうと決めていた。 今日のルートは、池木屋山登山口からP756.2付近~コブシ平~P1222峰~霧降山~池木屋山~宮の谷へ下る周回コースである。 登りのコブシ平は、某雑誌の紹介記事を見て知った。 だが、登っている人は少ないのか。ネット情報が乏しい。 これは参考になるというホームページをようやく見つけたが「熊が木に爪で引っかいた傷跡や、熊のものと思われる大糞」が大写しに載せられており、恐怖心が増すばかりである。 熊対策として、熊鈴(ヒグマキラー)を二個リュックにつけることにした。 最も欲しかったのが、予定ルートの軌跡地図である。残念ながら見つけられなかった。 この情報がないと迷える子羊である。 登山道が分からないのでルートハンティングを強いられ無駄な時間を要するからだ。 7時過ぎ、霧降山への標識を見て、植林の急登を行く。 20分ほど登ると伐採された明るい斜面に出る。鹿よけのネットフエンスが二重に敷かれ延々と続いている。正面に扉があり、ポール上下に紐が結んである。この紐を解き中に入ることができる。ネットの中には薄い踏み跡もある。だが、扉近くにも山道がありテープが巻いてあった。 どちらへ進むか迷う。 感覚的にはネットの中に入るのではないかと思ったが、テープの巻いてある道を選んだがこれが失敗だった。 15分ほど登ると北方向へ進んでいくことに疑問を抱く。前に大きな山が見えたので地図を見ると756.2峰のようだ。これはまずいと思い、暫くフェンス沿いに歩き扉口を探すが見つからず諦める。最初にあった扉口のところまで戻ることにした。登り始めから30分近くのロスである。 ネットの中に入ると、太陽がサンサンと照り35度前後の厳しい暑さである。頻繁に水分を補給をしないと脱水状態になり歩けない。尾根上までは、炎天下の地獄の道だった。 やっとのことで尾根上にくる。 ここからは、樹林隊に入り日陰の道で喜んだが、風が全く吹かず期待したほど涼しくない。 暑さそのものは変わらないのでジワジワと体力を奪われ水を呑む回数も多くなる。急坂になると、更に早めて給水をしないと体が重くて息苦しい。こんな状態が霧降山まで続いた。 登山口から霧降山まで、3時間半で登る予定が、何と5時間も要した。1時間半の遅れである。 P866は、ただのピークで通過する。 P981に来ると「こぶし平」との名札がぶら下がっていた。 「ーー平」とあるので、 もっと広い場所を想像していたが、空が見える小さな空間地といった方が正しい。北にシャッポ山らしき容姿が見えたが展望は利かない。 P1222へは、一旦下って登り返す。 長い急登で歩幅を狭くし小さな一歩を積み重ねる。汗で汚れた衣類はシャワーを浴びたように濡れている。 やがて岩の道に変わる。ここを過ぎると、大天井が見えた。 上に出るとP1222峰だ。 今まで展望のない樹林帯を長く歩いてきたが、P1222峰の明るい空が眩しい。万歳したくなるほど身も心もフレッシュになる。 前を見ると、大木が横たわり自然死の状態にある。大木の上に小さなプレイトが付いていた。 風雨にさらされ傷んではいるが「青空平」「ニハンノ平」「白骨平」」と読める。 青空平は、今日の天気のような空のこと。 ニハンの意味はよく分からない。地名でもなそうだし、遠くの山が釈迦の寝姿に見えるのか? 白骨平は、この大木のことだろう。 隣に伐採用のヘリポート広場がある。この大木は余りにも大きくて運び出せなかったような気もする。木陰へ来て一服すると青い空に台高の檜塚や明神山らしき山々が見えた。 P1222から霧降山にかけては、ブナ・ヒメシャラの巨木に覆われ台高らしい。雰囲気で気持ちがよい。ヒメシャラの巨木は台高の宝庫。鈴鹿では見れない。 動物が齧ったと思われる痛々しい木を見つける。 突然、森の奥で何かざわめきのような物音を感ずる。 空耳ならよいが嫌な予感がする。 リンリンと鈴の音は響いているが緊張が走る。ここ一番大きな声を出そうと思い、、童謡「靴が鳴る」を歌う。もし、こちらへ来たら教科書どおり対応できるのか。 相手の眼をにらめつけて、絶対に眼を反らさない。 戦う姿勢を示しながら後ズサリをする。 10分ほど歌って周囲の反応を見たら静かになっていた。 間もなく霧降山の上部が見える明るい斜面に出た。 前を見たら足がピタリと止まった。 蛇が小鳥を加えて動かない。ガラガラと警戒音を発してこちらを睨んでいる。登山道の真ん中なので避けて通ることも出来ず暫く立ち止まり様子を伺う。暫くしたら小鳥を放し逃げていった。 霧降山には、予定より大幅に遅れ11時30分に到着した。 山頂は、縦走路にあり小さなピーク。展望も良いので昼食をとる。 北に檜塚から明神山の山並、東に張り出す迷岳も、台高のスケールの大きい山域が見とれた。 霧降山から池木屋山まで30分ほど、池木屋山近くに来ると二重山稜のような地形で鞍部に池が存在する。何よりも明るい池なので、気分も爽快になる。 以下は、下記へ |
【駐車地(奥)と登山口(手前)】 |
【左、作業小屋を通り抜ける】 |
右、作業小屋。 |
【ここで進路間違う】 |
最初、手前にテープが巻いてあったので、暫くその道を進んたが方向が違ってきたのでここまでバックする。 二重ネットフェンスの扉を開け中に入る。 テープの巻いてあった道はどうやらP756.へ行くものと判断した。 |
【ネットフェンスを潜り伐採地に入る】 |
太陽が頭から降り注ぐ猛烈な暑さでバテそう。上部に来ると森林作業に使うモノレールの線路が出てきた。 |
【伐採された尾根上に来る】 |
ネットフェンスを開け尾根上に出る。 この先(P866へ)の尾根道は、樹林の中を歩くアップダウン激しい。10分も歩くと水分補給しないとバテる。 |
【P866】 |
P866は、樹林の中。 |
【P981・こぶし平)】 |
こぶし平は、休憩に良い。 |
【P1222】 |
左、 枯れた大木に「青空平」「ニハンノ平」「白骨平」」と読める標識あり。誰がつけたのか知らないが、今日はそれにふさわしい青空がいっぱい広がっていた。 ニハンの意味はよく分からない。 下 P1222から北方面を見る 手前はシャッポ山か |
【P1222から先の尾根は、台高らしい雰囲気】 |
ヒメシャラ・ブナの大木が多く爽やか気分で歩ける。動物にかじられた傷跡の樹木もあり 突然、森の中で物音が聞こえて緊張が走る。 |
【霧降山】 |
霧降山には、予定より大幅に遅れ11時30分に到着した。 山頂は、縦走路にあり小さなピーク。展望も良いので昼食をとる。 北に檜塚から明神山の山並、東に張り出す迷岳も、台高のスケールの大きい山域が見てとれた。 |
【池がある】 |
二重山稜のような地形で鞍部に池が存在する。 何よりも明るい池なので、気分も爽快になる。 この池が、池木屋山という命名になったらしい。 コース中、一番気に入った場所はここだった。 ジキタリスは咲いていなかっ |
【池木屋山】 |
台高縦走路の中心地である。四方向に道が分かれる。中央に立派な標石。 「お山の大将俺一人」と云わんばかりに堂々としている。 二等三角点、點名「中奥」1395.91m。 埋標明治34年12月6日と書かれたプレイトが木にぶら下がっていた。 |
【宮の谷道と東尾根】 |
宮の谷への下りは要注意である。 広い尾根なのでガスがかかると東尾根(白倉山方面)へ誘引されやすい。 尾根左寄りにある白いテープ(宮の谷へと書かれている)を確認して下る。 |
【宮の谷へ尾根分岐】 |
蛛の巣のようにロープが張られ通行止めにしてある。下りはロープがないと直進しやすいので、このような措置がなされているのだろう。 |
【宮の谷の上流部は気お付けろ】 |
昼間も暗い谷である。 上流部の下り道は何とも分かりづらい。当たり前のことだが、一人の眼より二人の眼で見た方がルート探索は正確で早い。 老眼は気をつけろ(ハイ自分のことです) |
【合掌】 |
難所。 傍らのお地蔵さんに無事通してくださいと合掌する。 |
【高滝】 |
高さ50m轟音を残し滝壺に落ちる。一級品の滝である。 |
【後書き】 |
「足跡」の欄でも書かしてもらいましたが、池木屋山の遭難・死亡事故が続出しています。 これ以上事故が増えれば行政側は何らかの対策をしなければならない。 最悪の場合、入山禁止で池木屋山は登山できなくなる恐れがあります。 こ;れから池木屋山を目指す人は、(自分も含め)準備と体調を万全に整え絶対に事故を起こさないという気持ちで出かけましょう。 宮の谷は、暗い谷なので明るいうちにここを抜けましょう。 上りの道より下りの道は要注意です。 今回の山行きで、、逆コースを取った方が無難と思いました。 高滝の迂回は、冷静且つ大胆に行きましょう。ビビリはダメデス。 複数で出かけましょう。 少し、上段から書いてしまいました。申し訳ありません。 池木屋山への入山禁止だけは何としても避けたいものです。 |