【山記録】
日時・天候  2017年05月20日(土)/快晴
山名 大普賢岳(1779.9m)・七曜山(1584m)・和佐又山(1344m)
山域 大峰
コース・タイム 和佐又山ヒュッテ(06:20)~和佐又山コル(06:40)~シダの窟(07:13)~笙の窟(07:25-32)~日本岳コル(07:50)~石の鼻(08:00-10)~小普賢岳(08:30)~大普賢岳(09:25-45)~水太覗(10:00)~奥駆道分岐(10:40)~雅子泊(10:55-11:05)~七つ池(11:22)~七曜岳昼食(11:40-12:25)~行者還岳分岐(12:30)~和佐又山ヒュッテまで3時間標識(13:00)~10分ほど行き過ぎ無双洞に戻る(14:10-20)~不明瞭な道探索(14:30-45)~危険なクサリ場(14:45-15:00)~和佐又山コル(16:00-10)~和佐又山(16:20)~和佐又山ヒュッテ(16:30)
●総タイム10時間10分(休憩90分+ロスタイム40分=130分程度含む)
距離/ 高低差 沿面距離12.4km /累積高低差(+1661m-1637m)
団体名/人数  単独  大普賢岳三角点

【軌跡・山旅25000図】

【標高・グラフ図】

【足跡】
<前書き>
 大峰の奥駆け道で最も険しいことで知られている大普賢岳。
 和佐又ヒュッテに前泊し「大普賢岳~七曜岳」コースを周回した。
 今回が、初登頂である。
 本コースは、標高差が大きく距離も長い(15km程度)健脚コースといえる。
 歩行タイムは、昭文社の山地図によると7時間余。休憩を含むと標準タイムは、8時間30分程度か。
 ネット上での歩行タイムは、さまざまである。
 早い人で、8時間。遅い人は、10時間以上。中にはビバーグしたという人もいた。
 
 ヒュッテイで夕食中、女主人と登山客(60才台プロ級の実力者)2人に聞く。
 >大普賢岳へ登る年代は、
 >>中年から60才台までの人が多い。70才台は極少数とか。
 >自分は、四捨五入すると80才になるがーーーー
 >>体力には、個人差がある。年を取っても気力が充実していれば登れるものだ。
  単独で来る老人は、登山経験が豊かで無理をしない。
 >遭難事故は、
 >>滑落、道迷い、暗くなりビバーグなど。少数だが死亡事故も発生している。
  一番多いのが疲労で動けなくなり救助を要請すること。山岳保険をかけていないと後のツケが大きい。
 >対策は、
 >>天候を見て登山口を早発するのがベスト。
 仕事の都合上、夜通し車を運転し早朝和佐又へ来る人が多い。これでは、睡眠不足で体調に影響する。
 出来たら和佐又ヒュッテへ泊まるか、ヒュッテ前のゲレンデにテント泊が望ましい。
 >ビバーグとは、
 >>北アルプスのような山小屋がないので8時間登れるだけの体力が必要。
 前半、ハシゴや鎖が連続するのでかなり体力を使うので後半になってバテる。
 水・ドリンク・栄養食品を飲み食べマイペースで歩き体力を温存することが重要である。
 >ビバーグの判断、
 七曜岳をPM2時までには通過したい。陽が短い時は4時になると山道は暗くなる。
 ヘツドライトで山道を歩くのはとても危険、山慣れた人でないと難しい。
 ビバーグをするかしないかの判断は、早めにした方が良い。
 携帯電話が通じない場合のことも考え(出発時にビバーグになるかもと)家族に伝えておくと良い。
 敵地は、水場の無双洞。
 >必需品、
 ツエルト・ヘッドライト・予備食料・防寒フリース。
 登山客のXさん
 関西方面の大学山岳部顧問。
 職業は自営業。ヒマラヤの山に精通し学生山岳部のガイド役をしてい.るとのこと。
 バスで新伯母峰トンネルで下車し、急な車道を歩いて和佐又ヒュッテへ来た。
 明日は、大普賢岳から行者還岳方面へ向かうとのこと。

<山レポ>
 5月20日、日本列島は2つの大きな高気圧に覆われ全国的に五月晴れとなった。
 大峰山地も1日中雲のない青い空が広がり絶好の山日和でした。
 午前6時過ぎ、和佐又山ヒュテイの気温15℃前後とさわやかである。
 昨夜、(テント泊をしていた車を含め)4台留まっていたが朝になったら10数台に増えていた。
 駐車料金、1000円を支払った登山者たちが集まっていた。若い人が多くて賑やかである。

 6時20分、和佐又山ヒュッテ出発。
 ヒュッテから200m先に登山口がある。
 登山届のボックスの横には「あなたの登山は安全ですか?」ーー
 山での行動はすべて自己責任です。遭難者捜索には費用がかかります。との注意書がある。
 他の山では見られない特徴ある文面、
 ①「安全ですか?」→?マークは何だ。貴方は安全ではないと解せる。
 ②「遭難者捜索には費用がかかる」→保険をかけていない人はドッキリ。
 この二つの言葉の意味。、
 大普賢岳は、厳しい修行の山と云いたいのだろう。山人ではなく行者になれということか。
 
 7時25分、笙の窟着。
 1300年前の役行者、その時代の高僧達が次々に冬に荒行した場所。
 この洞窟で多くの高僧が修行したのかと思うとパワーを感じる。
 日本岳(文殊岳)の南面岩壁に開口する自然岩窟。指弾ノ窟、朝日窟、笙ノ窟、鷲ノ窟と4つの窟が並ぶ。
 この中でも笙ノ窟が最も規模が大きく、修験道の開祖役行者が籠もって修行をした。不動明王が祀られている。

 9時25分、大普賢岳(標高1779.9m)着。
 いせ人は、行者となり修行道を歩きやっとこさぁ大普賢岳に着く。
 山頂は、岩場の荒々しいところかと思っていたが意外にも細長い平坦な小広場でリラックスできる。
 広場の一角に大峰山修験場の奉納札が置かれている。
 天空の峰に立つと澄み切った青い空の彼方に大峰の奥深い山々が見えた。
 東に大台ヶ原。南に釈迦ヶ岳・八経ヶ岳・弥山。西に稲村ヶ岳・山上ヶ岳が見えた。
 北は、灌木の隙間から大峰奥駆道の山々が展開する。
 360度の絶景に10数人が長休憩していた。
 我もその素晴らしい景観に酔う。
 大峰の神々に感謝です。
 
 11時40分、七曜岳(標高1584m)着。
 七曜岳手前はなかなか厳しい。高い梯子と鎖をよじ登ると小さな岩場のビークに出る、ここが山頂である
 山頂は、狭くて落ち着きのない岩が左右にある。雰囲気は良くないので休憩には適さない。
 展望は、高度感があり眺めは良い。
 東は、大普賢岳・小普賢岳・日本岳か並んで見える。
 西は、山上ヶ岳。
、正面は、稲村ヶ岳、その左はバリゴヤの頭が屹立。
 南は、行者還岳、その向こうに弥山、八経ヶ岳。

 14時、無双洞着。
 無双洞、違うルートから入ったので通り過ぎてしまった。
 かなり先で気づいてバックする。
 ロスタイム30分程度。
 現地に来ても標識がないので何処か無双洞か分からず休憩していた人に聞い分かった。

【国道166号線・新伯母峰トンネル南口から入る】
上左、
新伯母峰トンネル北口側。
手前右は、大台ドライブウエイ入口。

上右、
新伯母峰トンネル南口側。

左、
トンネルを出たところに案内板あり。
 和佐又山ヒュッテまで3kmの表示あり。
 この道路は、高度を急激に上げているので排気量の少さな軽車はきついと思う。

【和佐又ヒュッテイに前泊】
 5月19日の泊客は2人でした。雌犬のリサがお迎えです。
 施設は、かなり古い昔風の山小屋です。
 料理は、女主人の手料理で美味しかったです。
 それに檜風呂の温りを味わう。
 風呂付一泊三食の料金は、8100円と安いです。
 泊の人は、駐車料金は無料。


【登山口】

 ヒュッテイ前から200m先にある登山口。
左、
登山口にある安全登山注意事項。

【山岳遺跡の説明版】
上、
花の木の下を括ると左手にヒュッテイが見えた。

左、
新慮の美しい樹林帯が広々とした見返り台地で雰囲気よし。
下、
笙の窟(しょうのいわや)と周辺の山岳遺跡の説明版あり。なかでも笙の窟は、役の行者(699年以前)、日蔵常人、行尊大上人、西行法師、円空などが修行したと書かれている。

【和佐又山のコル】
 和佐又山との分岐。
 ここは、復路との交差点。
 時間に余裕があれば和佐又山へ登ろうかと思っていた。 さて、明るいうちに戻れるだろうか。

 昨夜ヒュッテイで談話した登山経験プロ級のXさんが休憩していた。先に出発する。
 

【大普賢岳と無双洞との分岐】

底無井戸経由で無双洞へ行くルート。
地形図には書かれていない。復路、標識を見落しこのルートは通らなかった。
左、
底無井戸分岐を過ぎるとブナの大木が林立する広い尾根筋に出る。雰囲気が良い。

【シダの窟と朝日窟】

最初の窟は、シタン(指弾)の窟。
左、
朝日窟。

【笙の窟(しょうのいわや)】

笙の窟。最も大きなです。
銅像不動明王立蔵が祀られている。日本遺産に指定。

【鷲の窟】
鷲の窟。
上には30数メートルもあろうか高い高い岩壁が聳える。

ここから谷へ降り和佐又ヒュッテイへいく道あり。

【日本岳コル】

左、日本岳コル。右、石の鼻から見た日本岳。

【石の鼻】
 コルを左折れ、鉄ハシゴ2つを登ると、石ノ鼻という展望の良い岩頭に出る。

上左、
石ノ鼻の岩頭

上右、
中央が和佐又山。奥の平たい山は大台ケ原。

左、
一番奥に二つ並んで見えるのが弥山と八経ヶ岳。


【小普賢岳】

分岐から10分程度で小普賢岳に到着。
山頂からは、南方面の展望が一部開けていた。

【鎖や梯子が連続する険しい道】


下から見ると恐怖で足が竦む。頭の上に鎖がある。

【やっと奥駆道が見えた】

奥駆道に出ると大普賢岳まで100m。やっとのこと緊張から解放され急に元気が出た。

【大普賢岳】
 大普賢岳の山頂は、細長い小広場。
 一角に大峰山修験場の証し、奉納札が置かれている。

北は、灌木の隙間から山が見える。 東は、大台ヶ原南、釈迦ヶ岳・八経ヶ岳・弥山。
西は、稲村ヶ岳、山上ヶ岳

7人の見ている方向は、これから登る国見岳七曜岳です。
上、
大峰奥駆道の山々。

左、
稲村岳と山上ケ岳。
 絵にかいたような美しい三角錐の大普賢岳。
 君は、大峰を君臨する王者の風格がある。
 

【水太覗】

【弥勤岳】
 弥勤岳の中腹を巻きながら進む。

【国見岳】
左、
国見岳。
登山道は、国見岳中腹を巻いていく。

【雅子泊】

11時稚児泊(ちごのとまり)着。テント場には最適な平地である。10数人が休憩していた。
 行者はこの地でお札と共にお菓子を置いてゆくと本にあった。稚児泊の名前には子供が関係しているのだろうか。


【七つ池】
 池の底には白いものが見える。残雪か。岩か。

【七曜岳手前、角度のあるクサリ・ハシゴをよじ登る】

【七曜岳】
上右、
七曜岳山頂は、狭くて落ち着きのない岩が左右にある。休憩には適さない

左、
東方向(山名プレイトの後方)は、大普賢岳・小普賢岳・日本岳が並ぶ。

下、
西方向の展望。

【奥駆道と和佐又道との分岐】

【復路ー尾根筋を下る】

【標高1300m付近にある標識】

左、標高1300m付近に和佐又ヒュッテまで3時間との標識が建っていた。
右、地図上で見る位置。

【名水無双洞との分岐】
無水洞との分岐。
無双洞は左の道を取るのが正解だった。
 この表示を見落とし右の和佐又ヒュテへと進む。

【ここが無双洞】
 左の洞穴が無双洞。違うルートから入ったので通り過ぎてしまったようだ。
 かなり先で気づいてバックする。
 ロスタイム30分程度。

 現地に来ても標識がないので何処か無双洞か分からず休憩していた人に聞い分かった。

【無双洞を覗く】
 奥を覗くと二つに分かれている。左の穴は大きくて人が入れそう。
 水は白っぽく濁っているが冷たい。水場はここしかない。
 今日は、暑くて水不足のようで皆さんここで補給していた。

【水太林道への道】
 ここから木太林道に出て国道へ出られる。こから少数グループが下山していった。

【不明瞭な道】
 踏み跡が分かれテープもなし。
 谷筋のガレ場でルート選定がむつかしい。
 

【最後の難関】
 谷底から急な岩場でかなり厳しい。
 鎖とロープを使って這い上がる。

【鎖場の上に出ると歩きやすい】

【春の花木が咲く】
 ヤマシャクやシャクナゲが咲いていたので慰められる。

【和佐又山コルに戻る】
 飲んでも飲んでも体が水分を要求する体はバテ状態だ。
 時計を見ると、16時なので和佐又山へ経由でヒュッテイへ向かうことにした。

【和佐又山】

【和佐又山ヒュッテが見えてきた】