【山記録】
日時天候 2016年02月21日(日)・曇り
山名標高 イブネ(1167m)・クラシ(1154m)・銚子(1150m)
山域 鈴鹿
コースタイム
鳴野橋・フジキリ谷林道口(8:22)~桜地蔵(9:12-19)~大シデ(9:53-57)~一旦ボウソウ(10:38-43)~杉峠(11:06-08)~杉峠の頭(11;25)~佐目峠(11:39-12:24)~イブネ(12:42)~北端(12:46)~P1145(12:55)~クラシ(13:00)~銚子()~イブネ(13:37)~佐目峠(13:51-59)~杉峠(14:23-26)~一旦ボウソウ(14:41)~事故発生(15:10-15:28)~大シデ(15:35)~桜地蔵(16:17)~鳴野橋・フジキリ谷林道口(17:04)
総タイム時間42分(休憩80分+ロスタイム20分程度含む)
距離/累積高度差 沿麺距離18.2キロメートル(林道口~杉峠6.2km+イブネ周回5.6km+杉峠~林道口6.4km) 
団体名等 Gisuzuka

【軌跡図ー山旅25000図76%縮小

【鳥瞰図  綿向山北峰1660メートル上空から撮影 

【足跡】
<登山概要>
 昔、団体で三重県側オゾ谷からクラシへ登った記憶がある。
 当時は、背の高い笹が密生し思うように歩けずほんの入口のみで撤退した。
 イブネ・クラシは、何処から入っても距離が長く鈴鹿最後の秘境と云われてきた。
 近年、笹の海は消え「夢のヒル」大海原の桃源郷に変身したとの情報を聞いていた。
 何時か、このヒルへ登ろうとの思いを強くしていた。
 2012年2月厳冬期、Gisuzukaが計画した山行きに参加したが大雪に阻まれ杉峠の頭で撤退した苦い思い出が蘇る。
 今回もフジキリ谷林道口からの挑戦である。
 リーダから、ヘッドランプ・ワカン・アイゼンは必ず持参するよう要請があった。
 千種街道を進み杉峠まで谷道を約6.2kmを歩く長丁場である。
 今回は、2012年とは比較にならぬスプリングの道だった。
 雪は、少なくワカン・アイゼンは使うこともなく最後までノーマルで歩けた。
 佐目峠で昼食済ませイブネへ登ると天気は急変し春の嵐が待っていた。
 だが、この嵐は登山者にとっては極楽であった。
 嫌なものは全部吹っ飛ばす童話に出てくる「北風と太陽」の世界だった。
 登山者にとっては太陽だった。
 高原台地の三山を周回し杉峠へと戻る。
 14時26分、杉峠から下山開始すべて順調だった。
 14時41分、一旦ボウソウに到着。
 15時10分、谷橋を渡る手前でOさんが路肩を踏み外し滑落。仲間の女医さんが応急手当をする。
 Oさんは、7~8mほど滑落したが落下した地点は軟弱な土の低地であったことが不幸中にも幸運であった。
 足を引きずりながらも何とか薄す暗らくなったフジキリ谷の駐車地へ戻ることができた。
 全行程の距離、18km余り。遠い道程でした。
 
<イブネ・クラシ・銚子>
 鈴鹿の名本「鈴鹿の山と谷」から引用する。
 著者西尾寿一氏の推測によると、
 この三山は、元々同一のドーム状の峰であったものが緩慢な浸食によって三個の頂を残したものとある。
 〇イブネ
 イブネは、クラシ・銚子と伴に佐目子谷と神崎川の水源を形成する台地状の一峰である。三峰の代表格で山容は大らかで笹原のドームである。遠目には頂上部を削り取った平原状で個性豊かな山である。
 名称は、伊勢側の村落「伊船」からきたとの説が有力。
 山容は、大らかで笹原のドームとある。今や笹原も消え平原ドームで何処でも歩ける。
 〇クラシ
 雨乞岳から北に延びる山稜は、杉峠の頭から二本に分離。西は、カクレグラ東はイブネから銚子ケ口に至って鈴鹿近江側の奥深い魅力を持っている。
 名称は、クラシ谷から来たとの説が有力。オゾ谷(大蔵)の鉱山暮尾から来た可能性も高い。
 山容は、デルタ形に連なった山の一峰で鈴鹿の山深く静かに眠っているかのようである。
 〇銚子
 イブネを中心とする台地状山塊の北端に接続している。
 この峰は、高度感があって峰に立つとクラシ・イブネの広大な笹原が台地状に展開し見事な景観である。
 名称は、銚子ケ口に対し銚子は意味深長な名前だが、これを裏付ける資料はない。

フジキリ谷林道口へ駐車】 

凍結もなくすんなり林道口に来られた。
鳴野橋手前の道路脇に車を駐車する。
ここから、千種街道を行く。杉峠まで凡そ6.2km。

桜地蔵】 

左、登山口から50分で桜地蔵に到着した。トイレ・衣服調整をする。
右、桜地蔵から間もなく渋川に架かる橋を渡り右岸側の道をいく。

【ツルベ谷口にある標識 

左、ツルベ谷への標識。
右、古屋敷跡の標識。杉峠まで85分と書かれている。

蓮如上人遺跡
上左、 
 建物は、昭和10年頃(80年位前) 建てられたとあり。

上右、
 庵の中に入ると、蓮如上人が一夜宿として過ごした様子の絵が描かれている

左、
蓮如上人遺跡のある道

【シデの大木で休憩】  
 シデの大木。幹の周りは、大人5人位の手で囲めるかなぁ。
 コケの根元は、ガッチリと大地を捕え凄みがある。 樹齢は?

標高703mの谷を渡るが、行きは、ヨイヨイだが】 
行きは、ヨイヨイ。帰りが怖い。
吊橋を渡り少し上がった登山道(左)からメンバの一人が滑落した。後半に掲載する。

【千種街道レスキュポイント19付近】 
左、標高840m地点。
この先、急に谷が狭くなる。870m地点にレスキュポイント1あり。(左下)

【大シデで休憩】 
 杉峠まで30分。雪かあると悪魔がキバを向くので倍くらいは見ておかないと、
 今日は、30分で行けそうだ。

【杉峠 

杉峠。信長が越えた歴史ある峠。
残された一本の杉も枯死しいつ倒れてもおかしくないような状態。

【杉峠から杉峠頭への登り 
左、
桃源郷の道苦しくても上に出ると夢が広がる。

下、
杉峠の頭に来ると、大きな雨乞岳に圧倒される。何と大きな山だろう。

タイジョウとの分岐】 
下、東方向に御在所山、鎌ケ岳が顔を出す。

【佐目峠への道 
 正面にかっこよい山容のイブネが見えた。
 鞍部が佐目峠だ。

佐目峠で昼食】 

 佐目峠は展望も雰囲気もよし休憩には絶好地。
 大石の割れ目もユニークだ。
 鈴鹿の数ある峠の中で最も優れた高原の雰囲気をもつ優れた峠と名本に記されている。

【イブネのダイラを行く。】  
 空は、
鉛色の雲が飛ぶ一瞬太陽があたる怪しい動き。
 風は、20m以上もあろうか大地は荒れ狂う。
 気温は、マイナス5℃位の寒さで樹木も凍える。    
 景観は、遠くまで見える大展望である。
 

【イブネ北端】 
 冷たい強風で小さな樹氷が付く幻想的な光景。
 イブネ北端は、前は切れ進めない。

【P1145 

左、P1145付近(トップ画像)。
何故か、中心地の木に「クラシ」の山名札がぶら下がっていた(左画像、木の中心にある)。

【クラシ】 

左、P1145付近から見たクラシ。
右、クラシ手前にある標識。

左、クラシ山頂。展望なし。
右、テープの上に書かれた山頂名。

P1145付近から見た銚子 
 樹氷の付いた白い美林。
 大地を覆っている苔も凍てつき歩くとサクサクと音をたてる。
 

銚子 
 銚子から見た熊の戸平。

【熊の戸平。丘は、イブネ 

イブネからの大景観】 
 強い風と冷たい空気に冷やされ冷凍庫のようなお山は快適。
 鈴鹿の主峰、御在所岳・鎌ケ岳・雨乞岳の大景観に圧倒される。皆さん呆然と眺めていた。 冬季は、厳しいがその代償というかご褒美をもらった。イブネ・クラシ有難う。
 
 下の画像は、二枚の写真をパノラマソフトで合成したものです。

【杉峠への下り 
 杉峠への下り道。正面に雨乞岳が立ちはだかる。

【杉峠からの下りは要注意 
 急斜面で凍結すると滑りやすい雪崩も起きやすい。危険地帯である。

 大雪になると上も下も見て歩かねばならないので上級者向きのコースに変身する。
 

【下山路、滑落事故の検証】 
  Oさんは、7~8メートル位落下。一回転した後は足から滑り落ちた。
 幸いにも柔らかいところに止まったので打撲程度で済んだ模様。女性医師が、緊急治療をした。
 彼は、駐車地まで何とか歩いたが左足をひきずりながら苦しそうだった。
 私は、彼の直ぐ後ろにいたので落下して行く光景を見て心臓が止まりそうになった。
 今回が二度目の経験である。
 今回も下り道。決して危険な場所とはいえないところの事故だった。
 川底まで落ちれば大怪我は間違いなし。もし、頭を打てば命も危ういかも。
 彼は、山の紳士。
 ご老人だがいつも元気。今日はロングで疲れたのかなぁ。自分も同じこれを教訓にしょう。
 登っていく人の身長から見ると8メートル位、滑落したようだ。 

【リクエストに答えて・豪雪の日(2012.2.18)杉峠の頭で撮った懐かしい記念写真

2016.2.21佐目峠の記念撮影(希望者のみ)